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2017年1月30日 (月)

真冬の佐久間道⑨―さくま昔ばなし「役人沢」

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 江戸時代の話です。
 山香付近は、だんだん畑が多く、その上、やせ地のため収穫も思うようにはなりませんでした。村人たちは、山へ行っては、紙の原料になるコウゾやミツマタを栽培したり、蚕を飼ってお金にかえて年貢を納めていました。

 ある年のことでした。天候の悪い日が続き、作物が思うようにとれないのに、年貢だけは決まって取り立てられていました。村人たちは困り果て、名主の家に相談に行きました。
「この不作では、どうしても年貢を払うことができませんのじゃ。借りたお金も返すことができず途方にくれていますだ。何とかならんもんかいのう。」
「お前さんたちのつらい気持ちは、分かり過ぎるぐらい分かるんじゃがな。私の力ではどうにもならんのじゃ。何とか私なりに考えてみるがのう。」
心の優しい名主は、年貢に苦しむ村人の願いをかなえてやろうと、思案したあげく、役人の所にお願いに行きました。
「何を言うか、お上の命令だ。いったん決めた年貢のきまりは、何であろうと、破るわけにはいかん。期日までに必ず納めよ。」
と、役人は言葉厳しくまくしたてました。

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 名主は、家に帰ると村人を集め、役人の言ったことを告げました。
「年貢のことなんじゃが、いくら役人に事情を話してお願いしても、少しも聞き入れてもらえん。こうなったら、それほどあるわけでもないが、私の財産を年貢の足しにしてくれ。」
「とんでもないこった。わしら村人は、さんざん名主さんにご迷惑をかけるっちゅうに、これ以上ご迷惑をかけるわけにはいきませんのじゃ。」
村人たちは、名主のやさしい心に打たれ、名主のまわりに駆けよりました。その人たちの顔を見れば、年貢を納めていないと言って役人になぐられ全身があざだらけになっている者、棒で乱暴され、足を引きずっている者も多くいました。

「そんな役人なら、たたきのめしてしまえ。」
と、今までの苦しみを一気にはき出すように、大声を上げました。その声につられるように後ろの方からも、
「そうだ、そうだ。生かしておくわけにはいかんぞ。」
「そうだ。あの役人をたたき殺してしまえ。」
激しい言葉が、次から次へと飛びかいました。

 あわてた名主は、
「待て、待て。皆の衆の気持ちは分かるが、いくら悪役人と言えども殺すことはよくない。苦しいけれど、何とかがまんしてくれ。」
と、けんめいになって村人をなだめました。

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 しかし、いくら名主が止めようとしても、村人たちの役人に対する怒りをしずめることはできませんでした。

 ついに、村人たちは、村の近くに役人をおびき出し、村境の沢に突き落としてしまいました。

 それ以後というもの、この沢を役人沢と呼ぶようになりました。(「さくま昔ばなし」第16話より)

    ◆       ◆       ◆       ◆

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 こんな昔話が残るのが、この沢。沢に架けられた橋の名は「役人沢橋」です。

 「役人沢」の脇には「三界萬霊有縁無縁」と「南無阿弥陀佛」と刻んだ2基の石碑が建てられていましたが、この昔話との関係については取材しませんでした。

 ■「さくま昔ばなし」INDEX

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